生き恥曝しても死に恥曝すな
生きているうちに恥をかいても、死後に残るような恥をかいてはいけないということ。

tantei

「これはかなり強いぞ。疊を汚してはいけないな……」自分は斯う思つて、まだ一寸無精してゐたい氣持だつたが、剃刀を机の上に置いて、お膳の傍まで二間程の疊の上を歩いて行つた時、グワラ/\ツと來て激しく自分の身體が杉戸に打つかつたので、そのまゝ半ば夢中で跣足で玄關から飛び出し、匐ひずるやうにして二間程も外へ出て、ふと後をふり返つた刹那、二階建の茅葺きの棟がペチヤンとなつてゐた。玄關わきの茶の間にゐた老僧夫婦と門前通りの男の人で、樒の枝を貰ひに來てお茶を飮んでゐた三人とが、下敷きになつた。幸ひに三人とも怪我もなく半時ほどして出て來たが崖崩れが續き、五寸程の地割れが出來たりして、辛うじて芍藥畑の隅の山茶花の下に戸板を持つて來て老僧夫婦と自分との三人が寄りかたまつて、搖れて來る度に山茶花の幹にしがみ附いてゐた。建長寺内の大建物は山門を殘したほか悉く潰れて、大方丈の裏の大崖はまださかんに凄まじい音を立てゝ崩れてゐた。二時間ほどしたが自分等の山の上の寺を誰も訪ねては來ず、自分も老夫婦を殘して下の樣子を見に行くのも氣がかりだつた。自分は高い石段の上から杉の樹の間を通して建長寺の大本堂、方丈、佛殿などの潰れた屋根を見下ろして、さつきの叫び聲から想像してもかなり人死にもあつたことゝ、云ひやうのない氣持で突立つてゐた。探偵 料金 http://mayowan.xphpbb.com/viewforum.php?f=1
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