生き恥曝しても死に恥曝すな
生きているうちに恥をかいても、死後に残るような恥をかいてはいけないということ。

gaka

 画家のO君から手紙が来て、静かな処だ、やつて来て見ろといふことでした。  細君からも何か書き添へてあつたやうに思ひます。  巴里から十何時間、ブルタアニュの西海岸で、その昔ケリオンといふ不思議な小人が住んでゐた処です。  宿はさゝやかなホテル・パンシヨン、国道を距てゝ美しい牧場などがありました。  海へも遠くはない。  聖堂の古風な鐘楼、広場の物語めいた泉水、それに、空は低く、森は黒ずんでゐました。  小川のへりに、牛が睡つてゐる。  女はレエスで髷をかくしてゐる。  カンナが赤く黄色く、食堂のテラスに咲いてゐました。  宿には、もう十人近くの客がありました。家族連れが多い。  夕食が済むと、みんなテラスへ出て、話しをしたり、歌を唱つたりしました。グラン・ギニヨル(物凄い芝居)の声色を使つて、女どもを喜ばせてゐる一癖ありさうな若者などもゐました。 薬剤師 求人サーチ
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