生き恥曝しても死に恥曝すな
生きているうちに恥をかいても、死後に残るような恥をかいてはいけないということ。

kogai

(戸外に叫ぶ声、笑ふ声、泣く声などが聞える。それが、一としきり鎮まると、今度は、例の三味線、笛の囃子と、ラツパ、太鼓の楽隊が聞え出す。それに交つて、「こら、こら、静かにせんか」「早く家へはいつて眠ろ」「職務の妨碍をするかツ」といふやうな声が聞える。群集の喚声。「軍隊が来たツ」といふ声。あとは寂寞) おせい  (いきなり、文六の手を取りて泣き出す。文六はうつ伏したまゝでゐる) 京作  (おちかの手を握り、感極まつた笑ひ方をする。おちか、うつとりとして、その手を頬にあてる) (俄かに、表の戸が開く。廉太が飛び込んで来る。一同の顔を見比べる。一寸、もぢもぢする。) おせい  あらツ! 文六  (廉太の顔をしげしげと見守る) 廉太  お父ツつあん、よかつたね。 おせい  お前、何処へ行つてたの。 廉太  新町公園……。 おせい  なにしにさ。 廉太  何にしたつて……。 おせい  寒いね。まあ、障子をお閉めよ。 廉太  (一寸、障子の外に眼をやり、云ひ出し悪くさうに、文六に向ひ)お父ツつあん、僕ね、あの、可哀想な人を連れて来たんだよ。公園の森の中に倒れてたんだ。女の人なんだけれど……。僕、その人を介抱して、やつとこゝまで連れて来たのさ。どうしようかな。(文六答へない)家ん中へ入れてもいゝだらう。 おせい  病人なら、早くいれておあげよ。外は寒いぢやないか。 廉太  (この言葉に勢ひを得たらしく、いそいそ店先に行き)おはいんなさい。 (廉太の後ろに続いて、二十前後の、恐ろしくけばけばしい扮りをした、それでゐて、ひどく不恰好な女が現はれる。閾ぎはに手をついて、一同に挨拶する。) 超常現象・世界のミステリー セントラルリサーチセンター
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