生き恥曝しても死に恥曝すな
生きているうちに恥をかいても、死後に残るような恥をかいてはいけないということ。

zidousya

 今朝妻の手紙を讀んだ時には左程にも強く感じなかつた玉子と云ふ言葉が、斯う怒鳴り續けてゐるうち、醉拂つた頭の中にふと閃くやうに喚びかへされた。自分は一寸眼を瞑つて、拂ひ退けたい氣持から、頭を激しく振つて見た。あの九月一日の地震當時の思ひ出――鬼門々々、あれが一切の破壞者だつたのだ。「だが玉子? 玉子がどうしたと云ふんだつたつけな?……あ、さうか、俺はその玉子で生命を助かつたと云ふ譯なんだ」と、はつきり考へ浮んだ。  その日も自分は遲く起きて、宿醉ひの氣分で朝飯を拔いて、机の上に鏡を立て、石鹸の泡を顏いつぱい塗りたくつて、右の揉上げから剃刀をスーツと一當て頬へと下ろしたところへ、丁度ドシンと來た。自分は剃刀の手を止めてあたりを視※したが、何しろ古いには古いが巖丈に出來た建物のことだから、裏の崖崩れは恐れたが家は滅多に潰れるやうなことはないと、泡を喰つて飛び出すほどの決心は咄嗟には起らなかつたのだが、十疊の入り口の杉戸を一枚開けて風通しのいいところへおせいが朝運んで來て置いて行つたお鉢の上にお膳が載つてゐて、小丼の中にその日一日分の玉子の三つが積まれてあつたが、その一つが疊の上に落ちて流れ出した。自動車保険 ランキング2013 http://blogs.infobebes.com/hikuki/
 
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