medatu
亮太郎 目立つんでね。 あや子 (溜息をつき)窮屈ね。 亮太郎 窮屈だが、仕方がないさ。強ひて周囲の感情と闘ふ必要もないさ。 あや子 さつきは、もつと平気になれつておつしやつたくせに……。 亮太郎 だからさ、もつと平気で土地についた生活をすればいいんだよ。わざわざ、都会人ぶらなくつたつて……。 あや子 変なことをおつしやるのね。もう、わからない、あたし……。あなたは、もつと、人の気持のわかる方だと思つてゐたわ。丸で無茶よ、この頃あなたのおつしやることは……。どうかしませうよ。このままぢや、お互につまらないでせう。あなたは、何かの不満を、あたしの処へばかり持つていらつしやるんぢやない。 亮太郎 さうか……。さういふ処があるかも知れない。わるかつたよ。どうもいけないね、かういふ生活をしてると……。頭がすつかり悪くなる。感覚が鈍くなる。精神に溌剌としたところがなくなるよ。田舎の生活が必ずしもわるいんだとは思はないが、自分の生活でなくなるからいけないんだ。君は、今日は顔色が悪いね。気分がわるいんぢやない? あや子 今、おつしやつたこと、あなたも気がついてらつしやるなら、あたし、安心だわ。でも、ほんとに気をつけて頂戴ね。ここにゐる間だけなら、まだいいけれど、あなたが、ずつとさういふ風になつておしまひになるんぢやないかと思ふと、あたし、泣きたくなるわ。(間)さう言へば、あなたも、今日は、お顔色がよくないのね。さつきのお話で、また心配がふえたからでせう。(間)でも、保次郎さんは、あなたのことを悪くは思つていらつしやらないんでせう、そんなに……。 亮太郎 好く思つてるとも言へなからうね。 あや子 困るわね。
飛蚊症治し方ガイド