生き恥曝しても死に恥曝すな
生きているうちに恥をかいても、死後に残るような恥をかいてはいけないということ。

maeni

 私はただ徒らに前に述べたようなことをいっているのではない。わが国貿易の輸出不振の可なり重大な原因がここにあるのではないかということを、誰か気のついている人があるであろうか。あの醜い桃色をして、安っぽい顔をしたセルロイドのキューピーをみる人は、日本の玩具が、世界の市場で不評判なのは、ただ破れ易いからばかりでないことを思いあわせねばなるまい。  しかし、六十年の年月は、さすがに、近頃日本の或一部の内に、内からなる洋風審美の芽が生えて来た。これは一と昔前の日本婦人の洋装と、今日のそれとを思い比べてみれば、おのずと知ることが出来よう。企業家がこの方面にも目をつけるということは、あながち不必要のことではあるまいと思われる。  銀座三丁目の角が松屋である。松屋についてはもう別にかかなくてもいいようだ。ここは旧の煙草専売局、その前が奇名一世に高かった大山師の岩谷松平翁の天狗煙草である。今でこそ、松屋位の間口はそう珍しくもなかろうが昔の岩谷の間口というものは、当時にあっては人目を驚かしたものである。然かも総赤ぬりで、軒の上に天狗の面とおかめの面とをならべて、其間に「勿驚煙草税金たった百万円」とか何とか書いてある。この税金の高が、年々にひどくふえて行ったのを私もよく覚えている。常に赤い著物で赤い馬車に乗り、銀座街を乗りまわしていたものである。一時国益新聞というのをやり、二六新聞と張り合って、ひどいけんかをしたものである。代議士になるとて落選した時は、二六が大喜びで、天狗の鼻の折れたのを描き「勿驚落選の親玉」というポンチ絵を出した。ワールドカップ 優勝 予想
 
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