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吾等兩人は非常に喫驚した。此種の海鳥は、元來左迄に性質の猛惡なもので無いから、此方さへ落付いて居れば、或は無難に免れる事が出來たかも知れぬが、不意の事とて、心から顛倒して居つたので、其樣な事を考へ出す暇もない、急ぎ追ひ拂ふ積りで、一發小銃を發射したのが※失であつた。彈丸は物の見事に其一羽を斃したが、同時に他の鳥群は、吾等に敵對の色があると看て取つたから堪らない。三羽四羽憤怒の皷翼と共に矢の如く氣球に飛掛かる、あつといふ間に、氣球は忽ち其鋭き嘴に突破られた。其時、先刻の白色巡洋艦は既に吾が輕氣球を去る事一海里許の海上に進んで來たので船の全體も手に取る如く見える、今しも、ふと其「ガーフ」の軍艦旗を認めた武村兵曹は 『や、や、あの旗は、あの艦は。』とばかり、焦眉の急も忘れて跳り立つ、私も急ぎ其方に眼を轉ぜんとしたが、時既に遲かつた。 「ガンブロー鳥」に突破られたる輕氣球は、水素瓦斯の洩るゝ音と共に、キリヽ/\と天空を舞ひ降つて、『あはや』といふ間に、大洋の眞唯中へ落込んだのである。
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